皆さん、質問ですが、例えば体の不調があるとなった時に、すぐに病院に行っていますでしょうか。
ええ、医療の基本は早期発見早期治療ですので、すぐに病院に行くし、なんなら健康診断とか人間ドックにも行っていますという方、非常に優等生です。
ただ、多くの方は、多少具合が悪くても、放っておけばそのうち治るかなとか考えるわけです。
そして、なかなか治らないと仮になったとして、その時にすぐ受診しようとするでしょうか。
それでもなかなか受診しない方は多いかと思います。
なぜなのかというと、一つはめんどくさいからです。人間は、今までの生活スタイルを維持できた方が楽です。
できたら、今までの生活スタイルを続けて、自分が変える余裕があったら変えればいいくらいにしたいわけです。
具合が悪いと言うことだけでも、その生活スタイルの維持がなかなか難しくなります。
そして、病院に行って、変な病名でも付こう物だったら、これまでの生活スタイルから大きく変えなければいけないかもしれないわけです。
例えば高血圧程度だったら、まだ誰でも起こる病気だし、ちょっと薬を飲んで血圧を落ち着ければいいやくらいかもしれないので、まだ傷は浅いかもしれません。
でもその病気が癌だったら。その病気が認知症だったら。
そうなると、「ちょっと物忘れがあるから受診しよう」となりづらい方もいるということは何となく伝わるかと思います。
ただ、放っておいて治るものでないならば、今起こっている症状を否定するだけでは状況は良くなりません。
私も認知症関連でこれまで多くの方に出会ってきましたが、発見が早ければ外来治療で、自宅生活を基本続けられるところ、発見が遅れたために一度大きく生活を再編しなければならない方も多かったです。
訪問診療などでも多くの患者さんに出会ってきましたが、自宅が嫌いな方は誰一人いません。そのようなところ、認知症としての症状がひどすぎるのでどう頑張っても自宅で生活するのは無理だとなってしまうと、こちらも悲しい気持ちでいっぱいになります。
とはいえ、ご本人が物忘れがあるとか、ご家族に物忘れがあるとかがあったとして、ご本人が「自分は実は認知症ではないか」と考えることは非常に怖いかと思います。
なのでそのような時はぜひ、「認知症に対してもお薬の治療とかお薬以外の治療とかがあって、何もやらないよりは進行を遅らせることができる」と伝わればと思っています。
矛盾する言い方のように感じるかもしれませんが、「病気に対しては今までいろんな人が少しでも病気が進まないように色々と考えてきたのだから、気づいたら対処すれば大丈夫。でも、病気は大したことないと軽んじる程度の物ではない」みたいな感じですね。
やらないよりはやった方がマシだし、その微妙な違いで少し幸せになれるかもしれないとそのようなものだと伝えられるものと考えております。